麦麦の場所

part 1

開田村は御岳山(3074m)のふもと標高1100〜1200mの高地で、
人口2000人に満たない小さな村です。
91年春に始めてここを訪れた私たちは、その空の広さと山々の美しさに感激して
その場で「引越し」を決意。
幸運にも、古い家を貸してもらう事も決まりました。
夏再び訪れ、今度は布団をきっちり被っていないと寒いくらいの朝・涼風にまたまた感激!
(パン屋の夏はパン釜の熱ですごーく暑い。)
ただただ、引越しの日を待ち望みました。
そうして、9月半ばついにここ、開田高原での暮らしが始まりました。
思えば開田のベストシーズンしか知らないままの”無謀”な転居でした。
仕事場を作りに来てくれた大工さんとお茶の時間に軽ーい気持ちで
「開田は寒い寒いってみんないうけどどのくらい?」と聞くや
待ってましたとばかりにニタっと笑って「なあに20℃くらいよ。20℃」
「それってマイナス20℃??」
「大丈夫、大丈夫。みんな住んでんだぁ。ははははは」
ドキリ!!
ただもうおどろいて・・・いつになく無口になってしまった私たちでありました。
果たしてここでパンは焼けるのか?どんな冬が待っているのか?



part 2

さてさて、開田高原の 最低気温が零下20度を越えることもあるなんて!
重大なことも知らず、あっさり 引っ越してきた私たちはしばらくの間、
村の人たちのことばに、はらはら。
    曰くー夜中吐く息で、しめった掛け布団がバシバシに凍るぞお!
   曰くー風呂場のシャンプーがかき氷みたいに、なるぞお!
   曰くー朝、濡れた手で鍋をさわったら、指がくっつくぞお!

そのつど、えっ!うそー!と驚く私たちの顔をみては、楽しそうに、満足そ
うににっこり笑って、そのあとは例のひとこと。
   「大丈夫、大丈夫!こうして、わたしらだって、暮らしてんだからさあ。
   それに、春はいいよう。最高だよう。」 

そうこうしている内に、寒い朝がやってきて。我が家にも、まきストーブが
すわり(ここでは、こういう表現をします。なんとも、ええ
  言い方ですよね。)煙突からあがる白い煙、山々の色は日々刻々と変わり、
そのバックはどこまでもひろーい青空。
   そうして、なにより気がかりだったパンも、無事焼けることがわかり!!
(考えてみれば、そもそもパン焼きは、寒いところで始まっているのですものね)
めでたし、めでたし。麦麦IN開田村のスタートとなったのであります。

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