990613
図書館の本棚は耕すもの



 園芸が大好きです。庭に小さいながらも花壇を作り、プランターやハンギングバスケットなどに花を植えています。

 今はパンジーの花がそろそろ終わりになりかけているところ、この時期の花壇は手入れが大変です。枯れかけた花
 柄を毎日、摘んであげなければいけません。ちょっと忘れるとすぐに花壇が汚くなってしまいます。

 先日、赤木かん子さんの『ミニミニ世界児童文学史』(図書館流通センター)を読んでいたら、「図書館の本棚も同じ、
 いつも古い本、読まれない本を抜き出して、書架を新鮮なものにしていなければいけない」とありました。

 また、「お百姓さんが毎年畑を耕すように、図書館員は毎年書架を耕さなければいけない」ともありました。

 一度本を入れてしまえば、それで良いのではなく、毎年新しい本を入れて魅力的な書架にし続けなければ行けないと
 いうのです。

 毎年耕さなければならないというのは、書架と本という物質的なものだけでなく、図書館員の感性をもさしているので
 はないかと思います。

 よく、学校図書館に関わる先生方から「私たちが読ませたいと思う本と子どもたちが読みたいと思う本にギャップがあ
 る」という声を聞きます。

 しかし、その「読ませたい」という先生方の感性は本当に子どもたちの心情にあったものなのでしょうか。

 子どもたちを、めぐる状況はめまぐるしく変わっています。十年一日のごとき感性で、子どもたちに本を勧めても見向
 きもされないでしょう。

 もちろん名作と呼ばれる作品の中にはいつの時代にも朽ちることのないすばらしい真実が詰まっています。しかし、
 その勧め方にしても、子どもたちの感性にあった勧め方をしなければいけないません。

 子どもの本に関わる人たちは、常に子どもたちを取り巻く社会状況、文化状況に敏感となる必要があるでしょう。そし
 て、子どもたちの読む本は、子どもたち以上に読んでなければならないでしょう。

 それが、感性を耕していくことになるのではないかと思います。

 愛情を持って手入れを続けて初めて美しい花が咲くというのは花壇も図書館も同じ事のようです。



トップへ
トップへ
戻る
戻る