先日、用事があって東京に出たとき、久しぶりに紀伊国屋書店に寄ってきました。
学生時代や独身時代、この手の大型書店にいくと有り金はたいて本を買い、時にはリュックサックに本をつめて来た
ものです。 本屋さんよりも図書館の方を日常的に利用するようになった今でも、大型書店に入るとどきどきしてきます。「あんな
本もある、こんな本もある」と並んでいる本に引き寄せられるのです。この感覚はちょっと図書館では味わえないもので す。 いったい図書館と書店ではどこが違うのでしょうか。
まず、ディスプレイが違います。図書館ではほとんどの本が書架に納められ背表紙だけを見せています。それに対し
て、本屋さんでは、多くの本、特に話題の本、新刊などは、棚の上に平積みにされ、その表紙が見えるようになっていま す。 また、書架が低く、目の高さで本を選ぶことが出来ます。さらに、様々なポップやポスターが、今売れている本、話題
の本を教えてくれています。 先日行った紀伊国屋書店では映画化が話題になっている「スターウォズ」や浅田次郎の「鉄道員」、ベストセラーにな
っている大野晋の「日本語練習帳」などが目に付くところに沢山並べられていました。 もちろん図書館でも最近では展示に力を入れて、利用者の読書意欲を喚起する努力をしていますが、どうしても本屋
さんにはかなわないようです。 その根底にあるのは、図書館ではすべての本の価値の等質化が原則となっているのに対して、書店では売れている
本が一番という価値の序列化がはっきりしているということがあるのではないでしょうか。 本屋さんでは、客は売れている、話題になっている、という基準にしたがって本を手に取れば良いわけですから、本を
探すのも楽になります。 一方、図書館においては資料の価値を決めるのは利用者自身です。均質化された多くの資料の中からもっとも自分
に合ったものを選び出すという作業は結構しんどいものです。 さらに、本屋さんには良い意味でのいかがわしさがあります。
図書館の本は蔵書として入れられるときに、選書という篩にかけられます。あまりにセンセーショナルなもの、非科学
的なものなどはリクエストでもしない限り書架には並びません。リクエストをしても他館から借入して済ませてしまうかも しれません。もちろん図書館利用者としては提供してさえくれれば良いのですが。 書架を眺めながら楽しむことや、サブカチャー的なものは今日の図書館にはまだまだあまり期待できないようです。
図書館になれている私にとっては1冊の本を探すには図書館の方が便利なのですが、新しい発見やわくわくどきどき
感はまだまだ書店にはかなわないようです。
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