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気になる文部省の調査

 毎年、文部省から学校図書館に関する調査がきます。細々とした調査項目が並び、専任の職員がいない学校にとっ
 ては随分と面倒なものではないかと思います。私たち「木曽の図書館を考える会」が各町村の図書館や公民館図書室
 にお願いしている調査も結構細かいものですから、各担当の方には迷惑をおかけしているのだろうなあ、と思った次第
 です。

 ところで、この文部省の学校図書館の調査、いくつか気になることがありました。そしてそれは学校図書館の本質に
 も関わることのような気がするのです。

 もっとも大きな点は、学校図書館へのボランティアの参入についての調査項目があるにもかかわらず、学校司書の
 配置状況についての調査項目がないということです。

 図書館はただ本があるだけのところではない、ということは今までにも何度か言っていると思います。図書館は「資料
 提供」というサービス機関です。利用者が知りたい情報を「探す」だけでなく「提供してもらえる」ところなのです。したがっ
 て資料を提供する専門家がいなくては機能しません。医者がいない病院が機能しないのと同じですね。そして、それは
 学校図書館も同じことなのです。

 残念ながら日本の学校図書館ではそうした専門家が配置されるような整備がなされていませんでした。さきごろ改正
 された学校図書館法でも、専任の職員が置かれることにはなりませんでした。

 そうした貧しい日本の学校図書館をなんとか機能させようと頑張ってきたのが、各自治体ごとに採用されてきた学校
 司書でした。現在まがりなりにも学校図書館が学校図書館として機能しているところには、学校司書の目に見えない努
 力があったからこそなのです。図書館とは何か、図書館職員がすべきことは何か、手探りの中から子どもと本とを結び
 付ける、教育課程の展開のための資料を準備するという今日の学校図書館を作り上げてきたのです。

 しかし、学校司書は学校図書館法にも明記されておらず、また採用も職務もさまざまなために、行革の名のもとに切
 り捨てられようとしています。

 今、学校図書館から学校司書がいなくなれば、新しい学習指導要領にうたわれている「生きる力」や、総合学習など
 の新しい教育課程を作り上げることは不可能になるでしょう。

 そこでボランティアによる図書館運営と言うことが出てくるのでしょう。

 しかし、文部省の調査項目に「ボランティア」という言葉があれば、現場は図書館運営はボランティアでよいのだと思っ
 てしまうでしょう。図書館業務をボランティアでやらせるということの裏には、図書館の業務を、本の貸し出しの事務手続
 きと受け入れ事務だけにしようという考えが見えてきます。

 実際には利用者のニーズを的確に捉えての蔵書の整備、高度なレファレンスへの回答など、専門の教育を受けてき
 てすら、長年の経験がなければ十分にこなせるような仕事ではないのです。そして、こうした事ができてはじめて、利用
 者の「学習する権利」が守られるのです。

 今回の文部省の調査項目からは、「本さえあれば良い」「専門家は出来るだけ減らそう」という学校図書館観が、そし
 て図書館の本質である「知る権利の保証」「プライバシーの保護」を軽視する考え、が見えてくるような気がします。

 この他にも、一斉読書の実施についての調査など気になることがあります、それについては次回に回したいと思いま
 す。

(つづく)




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