文部省からの学校図書館に関する調査にはいくつか気になる点があったのですが、朝の一斉読書をとりたてて調査 している点も気になりました。 子どもと本を結び付ける方法は沢山あります。読み聞かせ、語り、ブックトーク(一つの主題にそって、ストーリーを作
りながら、関連図書を何冊か紹介していくもの)、近年ではアニマシオンと呼ばれるこれらを融合した手法も脚光を浴び ています。また、読書郵便、紹介文の作成などを読書週間で取り入れている学校も多いのではないでしょうか。読書週 間の特設自体、子どもと本を結び付ける大きな手だてと言えるでしょう。 にもかかわらず、朝の一斉読書のみをとりたてて調査するということに疑問を感じざるを得ません。ここには何らかの
意図があるのではないか、と勘ぐってしまいます。 アンケートは時として純粋な調査ではなく、世論を作ってしまう効果があります。文部省という権威あるお役所から出さ
れた調査に一斉読書の調査項目があれば、なんとなくこれをやらなければいけないような気になってくるのではないで しょうか。 さまざまな方法のうちなぜ一斉読書なのか。どうしても疑問です。
ところで、朝の一斉読書ですが、ここ数年ブームともいえる勢いで普及しています。
部活動や受験勉強に追われて落ち着いて読書に取り組めない、中・高校生を対象に行われてきているもので、「読書
の習慣が出来た。」「騒がしかった教室が静かになった。」「落ち着いた雰囲気で授業がはじめられるようになった。」 と、大変好評です。 とても良いことだと思うのですが、どこか生徒指導の匂いのするところが気になります。読書をさせたいのでしょうか、
学校を静かにさせたいのでしょうか。学校としてはどちらでも良いことなのかもしれませんが、図書館の立場としては気 になるところです。 また、読書は本来個人の自由な営みのはずです。読む自由の反面には読まない自由もあるのではないでしょうか。
一斉読書という時間の中で個人の自由はどうなるのでしょうか。 生徒指導であり、授業の一部なのだとすれば良いことなのですが、これが読書の本来の形であり、図書館が積極的
に関わる事業であるとは思いたくありません。図書館でも一番気持ち悪いのは学生がぎっしり詰まった参考資料室で す。しーんとして黙々と勉強しているか本を読んでいるか(時々居眠りしている人もいますが)こういうのは嫌な感じで す。書架を見ながらそぞろ歩きをしたり、日常の会話を楽しんだり、そんな図書館であってほしいものです。 一斉読書は「本を読め!」と号令をかけるだけで、本に対する深い洞察や専門的な知識は要りません。もしかしたらこ
んな形で専門職としての学校司書の排除を進めていこうとしているのかしらん、などと邪推したくなります。 なお、最後に毎年行われるこの調査、集計結果が学校に送られてこないのも不思議です。
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