天然記念物

 平成11年春先、ヒメギフの優雅な飛翔を見ようと鳥居峠へ登ったら
木祖村行政によるこのような看板が立てられており、この峠にも時代
の波がやってきたのかと、感ひとしおである。          


 先ず”保護に努めております”の内容を詳細に知りたいものである
何故なら行政で指定をして看板を立てれば事足りる、という保護の
例が大半を占めていると聞くからである。            
指定が善で採集が悪かという単純な問題ではなく、如何に保護をする
のかというのが重要ではなかろうか。確かに卵や食草をやみくもに採
取してしまえば絶える恐れはあるが、多少の成虫採集ぐらいで絶滅し
ない事は現在その種が鳥居峠に生息している という事実が証明して
いる、それよりも環境の変化を心配しているのはむしろ我々蝶愛好家
の方で発生地が自分の持ち物なら、蝶の住み良いように手入れをする
ことは確実であるが実際にはままならぬ。ことにヒメギフの場合環境が
暗くなったら駄目
で、発生地が民有地なら先ず行政がその土地とその
周辺を取得し、針葉樹をおろ抜き広葉樹を主とする混交林を永久に維持

していかねばならない。現に10年前は発生地だった場所が植林された針葉樹の成長により暗くなりウスバサイシン、吸蜜植
物のカタクリなども生育できずヒメギフが姿を消した場所が鳥居峠木祖村側にあったことを私は知っているが、このような
事が今後起こらないよう万全の策を望みたい。安易に保護保護と言うが金もかかるし、放り出すわけにもいかない継続的大
事業である。今回の指定により木祖村のヒメギフは安住の地を得るという約束手形を得た事になる、空しく看板だけが立っ
ているような光景を見るのは余りにも悲しいので誠意ある保護を期待し蝶愛好家の立場から見守っていきたい。      

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