2010年5月4日、塩尻市羽淵地籍でスジボソヤマキチョウがクロウメモドキではない 樹木に産卵しているところを発見した。その産卵風景を撮影しながら観察すると既に朱 色に変色している卵や産卵直後の乳白色のものなどがあった。この樹木は[原色蝶類生 体図鑑(1)]に長野県ではスジボソヤマキチョウがクロカンバを食する旨が記されており クロカンバと推測した。 ところが後日になって再撮影をしていると体長2o程のシジミチョウ風の幼虫がファ インダーに入ってきた。色や形から私はミドリシジミではないかと考え、これは面白い 事になったと両種の飼育をすることとした。スジボソヤマキチョウは以後問題なく成長 して蛹化した。問題のミドリシジミは葉を綴って巣を作ることもないので蛾の一種なの かなーと落胆したが[長野県植物誌]を調べていてクロカンバがクロウメモドキ属と知り ミドリシジミとの思い込みが間違いのはじまりでこれはミヤマカラスシジミである事を 悟ったのである。無事成虫の羽化を確認し、一応ミヤマカラスシジミの新食樹となりう るか調べたところ「日本産蝶類標準図鑑」に既に記されており一件落着をみた。
クロカンバ 2010/05/04 |
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クロカンバに 産まれたスジ ボソヤマキの 卵と不審な幼虫 2010/05/13 |
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クロカンバの 葉裏と終齢幼虫 2010/05/31 |
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前蛹 2010/06/09 |
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蛹 2010/06/11 |
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クロカンバを 食し羽化した ミヤマカラスシジミ 2010/06/26 |
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