木曽漆器の話題 その2


 長野県自治会館エントランスホール壁面にオブジェ

 長野市の長野県自治会館に、木曽漆器の職人達が多数参加して出来たオブジェが取り付けられました。デザインは、地元出身の東京芸術大学・非常勤講師の宮原克人さん、監修は東京芸術大学教授の増村紀一郎先生、製作は財団法人・木曽地場産業振興センターで、デザインから完成までほぼ1年がかりで製作されました。5つの作品群は全体で信州の四季−春・夏(2つ)・秋・冬を表しており、それぞれが季節により貝・卵殻等の使う材料が変えられ、木曽塗りの変わり塗り技法も配色を変えて、見応えのあるものになりました。

             

 本体の中身は発泡スチロールで、その上に麻布を糊漆で貼り、土と漆を混ぜた下地材をすり込み、貼りと塗りを何回も繰り返して作る、手間のかかる「乾漆」の技法でできており、一番大きな「秋」の長さは6m、幅1.1mと、「乾漆」では最大級の物です。製作過程ではデザインを担当した宮原さんと共に、下地・塗り・加飾のそれぞれの得意の分野で活躍の職人さん達が毎日参加、より良い作品になるよう工夫しながら、丁寧に作られました。


                            
   

      箔を貼る宮原克人氏                      製作中のオブジェ



      完成した秋の螺鈿(ラデン)部分                  冬の卵殻部分

 大理石をバックに取り付けられたオブジェは、見た感じよりも軽くて堅固。5つのオブジェはハーモニーと力強い造形美をかもし出しています。題は「景の断章」と命名されました。長野に行ったら是非ご覧下さい。



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