木曽漆器の話題 その1

漆蒔絵記念額製作風景


平成9年秋〜10年2月 長野県木曽郡楢川村にある、地場産業センター「くらしの工芸館」の工房で、漆蒔絵記念額の制作が行われました。
制作に参加された皆さんは木曽漆器を支える産地の若手で、日頃は別々の生業を持ちながら、冬季オリンピック入賞メダル制作以来チームワーク良く、休日返上で懸命に作業が続けられました。



 
漆蒔絵記念額の完成品


 










制作者のひとこと

入賞メダルにおける蒔絵
 
 かつて、日本が国を閉ざしていた時代より、漆器はヨーロッパに向け日本の代表的な輸出品の一つだったといわれています。そこまで西欧人を魅了した漆工技法の一つが蒔絵です。
 蒔絵は平安時代より発達し、先人が工夫を重ね現代に至っています。時代を経ると、様々な技術も同時に開発され、また違った蒔絵が生まれてきました。このたび長野オリンピックの勝者に与えられるメダルは、木曽の漆工技術と現代の細密加工技術の融合により、若者の手によるさわやかなメダルが出来ました。先人の作り上げてきました日本固有の蒔絵が、世界最大のイベントを機会に新たな技法が加わりましたこと、携わりました人間の一人として嬉しく思っています。

入賞メダル制作者 伊藤 猛



*仕様と素材
漆蒔絵ベース:黄銅材
リング:黄銅材 ダイヤカット 金メッキ
額:木製 縦190mm 横190mm 厚さ20mm
大会名称プレート:アルミエッチング、アルマイト処理加工
シリアルナンバー:裏面に手書き

*蒔絵技法
エンブレム金色部:金平目粉洗い出し
エンブレム銀色部:銀丸粉研ぎ出し
五輪・文字:フォトエレクトロフォーミング(P.E.F)
      写真技術応用による電鋳成形(電気メッキ)

*仕上げ
メダル部:蒔絵、呂色仕上げ




Mail fukai@po.cnet-kiso.ne.jp

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